遺産相続に必要なものは?やらないといけない事と事前にできる準備を調べてみた
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はじめに
誰しもが直面する親族の死。葬儀の準備や役所への届けといった様々な手続きが発生しますが、中でも一番重要かつ難解なのが『遺産相続』です。故人に遺産がほとんどない、逆に負債しかないという場合であっても名義変更・相続放棄といった手続きが必要になってきます。
遺産相続は俗に「争族」と言われる程、親族同士でトラブルが起こりやすい問題です。このサイトでは、そういったリスクが少しでも減るように、遺産相続に関する正しい知識やトラブルの対処方法を解説していきます。
遺産相続に必要なもの
1-1 遺産相続、いつから準備するべき?
相続に関して『将来そういった事態に直面してから考えればいい』『生きている間に死んだ時の事を考えるのは不謹慎だ』そう思う方もいらっしゃるかも知れません。しかし、相続に関する手続きや税金の申告といった作業は極めて煩雑で、その上放棄する場合は3カ月以内、相続する場合には10カ月以内に遺産分割協議を成立させた上で名義変更や相続税の納付といった手続きを終わらせなければなりません。
その為、多くの専門家は相続の生前対策(事前準備)を勧めます。まずは相続に際して必要になる手続きを以下の一覧にまとめて見ました。
税金関係の手続き
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如何でしょうか、遺産分割協議や遺産分割協議書の作成以外にも手続きが必要となってきます。
具体的に何カ月前からとは言いませんが、後に起こりうるトラブルを防ぐためにも「事後ではなく事前に準備」「専門家に相談」この2つが大事である事は覚えておいて下さい。
1-2 遺産を相続するにあたり必要なもの
前述した一覧にもある程度記載しましたが、遺産を相続するには様々な書類が必要になってきます。遺言状がある場合は遺言に従って相続が行われる為、ここではまず遺言状がなかった場合に必要な書類とその理由について記載していきます。
a.故人の戸籍謄本、戸籍の附票
死亡時の戸籍謄本が必要になります。戸籍謄本は故人が亡くなった際に本籍を置いていた住所にある役所で取る事が出来ます。また、死亡時の住所も必要になる為、戸籍の附票も一緒に請求しましょう。
b.故人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本全て
遺産を分割する際には、全ての法定相続人(法律上、遺産を相続する権利のある人)を調べ、確定させなければなりません。この事を「相続人調査」と言います。
c.確定した相続人が存命である事が証明できる書類(戸籍謄本)
既に亡くなっている人には相続権が無い為、故人の親・子・兄弟といった相続権のある人を全て調べた上で、故人(被相続人)が死亡した日以降に相続人が生存している事が分かる書類として戸籍謄本が必要になります。
d.遺産分割協議書
法定相続分で遺産を分配する場合は必要ありませんが、それ以外の分け方をする場合はこの書類が必要になります。
e.相続人全員の押印と印鑑証明書
こちらは遺産分割協議書を使用する場合に必要になります。遺産の分割に関して、協議者全員が自らの意思で同意した事を証明するために実印の押印と印鑑証明書の添付をするのが、遺産分割協議書を使って遺産を分配する際のルールとなっています。
1-3 遺産相続にあたり確認すべきこと
遺産を相続するにあたって、必ず確認しておかなければならない大事な点があります。
それは「相続税を払う事ができるのか」と言う事です。平成27年より相続税の基礎控除が従来の5000万+(1000万×法定相続人の数)から3000万+(600万×法定相続人の数)に引き下げられました。
これに伴い、従来の仕組みであれば支払う必要のなかった人達が多額の相続税を請求されるケースが増加しています。特に都市の中心部や繁華街に自宅や土地がある人の場合、不動産評価額が高くなってしまい想定していなかった額の相続税を課税される事があります。
しかし、生前に相続税対策を行う事で税金の支払いを大幅に軽減する事も可能です。なのでまずは専門家に相談する事を選択肢に入れると良いでしょう。次の章では遺産相続にまつわる税金について、掘り下げて解説していきます。
2章 遺産相続にまつわる税金
遺産相続をするにあたって付いて回る相続税問題ですが、知らないと損をする事も実は沢山あります。この章では、実際にかかる税額や生前贈与を使った軽減方法について話していきます。
2-1 相続税
1章の最後でも少し触れましたが、平成27年1月1日より相続税の基礎控除が引き下げられています。
従来の基礎控除・・・5000万+(1000万×法定相続人の数)
改正後の基礎控除・・3000万+(600万×法定相続人の数)
また、税率についても改正が行われ、現行の税率は以下のようになっています。
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これにより、今まで非課税だった世帯についても多額の課税がなされるケースが増えています。例をあげると
故人に配偶者と子供が2人いた場合。自宅や預貯金を含めた相続財産は8000万円。
従来の場合・・・5000万円+1000万円×3=8000万円が控除額になる為、相続税の支払いは無し。
改正後・・・3000万円+600万円×3=4800万円が控除額になる為、残りの3200万円は課税対象となり、大よそ320万円の相続税が発生。
このように、改正前と後では課税金額が大きく変わっているので、次で述べる生前贈与のような税金対策が必要となってきます。
2-2 生前贈与を行った場合の贈与税
生前贈与とは、その名の通り生前に金銭を贈与(無償で与える事)を言います。
贈与には控除があり、毎年(1月初め~12月末まで)1人あたり110万円までであれば税金(贈与税)はかからず、申告も不要です。
なので仮に子供2人に15年間毎年贈与を続けた場合、3300万円ものお金を非課税で残す事が出来ます。前の章で出した例の場合だと3300万円贈与する事が出来れば相続税は非課税となる為、かかるはずだった320万円の税金が丸々浮く計算になります。
2-3 生前贈与を行う際の注意点
生前贈与の便利さについては今述べた通りですが、実はこの制度にも気を付けなければいけないポイントがあります。それは「最初から多額の贈与をするつもりだったのに、税金逃れの為に毎年分けて渡していた」と税務署に判定されてしまう事です。そうなってしまった場合、前章の例でいうと3300万円に贈与税が発生してしまいます。それを避ける為に必要な方法がいくつかあるので紹介致します。
a.贈与時に契約書を作成する。
税務調査で指摘された場合に備えて、きちんと書面を交わした上で課税対象に満たない金額を贈与していたという証拠を残しておきます。
b.贈与税の申告を行う。
110万円までは非課税なんじゃないの?と疑問に思われた方もいると思うのでご説明します。これまでに述べた通り110万円までは課税の対象外ですが、わざとその枠を超えた金額、例えば111万円の贈与をする事で、受け取った側には贈与税の申告義務が発生します。申告を行う事で、まとめてではなく毎年贈与をしていたと言うこれ以上ない証拠になり、税務署から指摘される事もなくなります。
仮に1万円超過の場合、贈与税は超過分の10%1000円で済みます。また申告書類も、一度作成してしまえば2年目以降は同じ事を書くだけなので、ほとんど手間もかかりません。
まとめ
如何でしたでしょうか。遺産相続と一言で言っても、様々な手続きやトラブルの可能性がある事、税金対策についても知らないと何百万もの違いが出る可能性がある事をご理解頂けたかと思います。
実際、遺産相続や生前準備は自分1人で行うのはかなり大変です。私自身経験者ですが、相続人調査の段階で躓いてしまいました。経験した上でオススメするのはやはり『事前に専門家に相談する』事です。大抵の税理士事務などは初回相談を無料で行ってくれているので、相談してアドバイスを貰うだけでもかなり勉強になります。
特に節税については、早めに相談した方が節税を行える期間が長くなり、より効果的です。
この記事を見て悩まれている方は、一度相談してみては如何でしょうか。